2007年12月15日

鼻から上を照らしてた






「ほら、ナーくんのおうちが見えるよ」
「どこ?」



朝の逆光が作り出す黒く四角い影を指そうとした瞬間、
電車のドアは閉まったのだけれど。

ドアの窓枠の下端を、もう息子の目線は越えていて、
難なく朝の景色を見渡している。
僕の抱っこなしで見渡している。





息子は、少し大きくなった。






人は、毎日「獲得」する。





一日分の時の流れを。


身体の変化を。


人との会話を。


作業の経験を。


海の向こうからの知らせを。


新しい何かを。




好む好まざるに関わらず
獲得していくのだ。






誰かのコメントを思い出す。

「ドーナッツの真ん中には、何もないんじゃなく、穴があるんです。
穴があって初めてドーナッツ」





そう。

喪失さえも、獲得なのだ。



別れた人。

失ったもの。


その欠落感もまた
獲得し、携えていく。






車窓に差す朝日のオレンジが
息子の
鼻から上を照らしている。





息子は、少し大きくなった。



息子は、少し大きくなった。





アヒル窓.jpg






posted by 白井麒麟 at 01:49| 東京 ☀| Comment(2) | あしもとの小さな音 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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