2007年09月08日

畜生、の夜





銀座。


金曜の二二:三五。


落書きだらけの狭い階段を降り、さっきまでキーボードを叩いてた手で木の扉を押し開ける。
地下のすえたような空気。


「二枚からのチケット制です」


爆音のラテンのせいで良く聞こえない。何度か聞き返したりしてちょっとかっこ悪い。


「二枚!」


三百円バーのくせに、戻ってきたのは三百六十円。
『四十円は?』
まあそんなにボラれてないし‥



暗い店内にぎっしり起立。
カウンターの隅のわずかな場所。ハーパーソーダはちゃんとしてるが、ミックスナッツは柿の種含有率四十パーセント。

うるさい、狭い。

ラテンの爆音。悪ふざけした外人の一団の叫び声。
外人に話しかける五十がらみの女。カウンターを振動させるだれかのケータイ。

なのに。




『あぁ。なんだか、心地いい』




十時半まで残業したって、ちっとも終わっちゃいない。この一週間ずっとそう。その時間まで残業したら自宅に着くの十一時半って知ってる?
台風がきたって、ずぶ濡れで子供送って、定時出社。(恨むぞ妙に頑強な京成電車)





うるさいくらいがちょうどいい。






「お前、なに頼んだの‥」
「えっ」
「だーかーらー‥」


もう十分もビールをちびちび飲んでいる後輩が待つのはソーセージピザだそうだ。来る気配も作っている気配もまったくない。


こんな場所でも女性は連れだって歩くらしい。六人のOLたちがグラスを高く上げながら人の間をすり抜ける。ちょうど後輩の背後をぬける時、おしげもなく胸が次々と触れて行く。小さくて丸まった後輩の背中に。

十二個も?

お前、わざと通路狭めてるだろ‥。




「‥おい‥」
「なんですか?」
「ナンパしてこい」
「ホンマですか? 僕行きますよ」
「嘘。帰れなくなる」



ケータイの時刻表示をチラ見。二二:五十



「ホンマ僕行きますよ」
「だから帰れなくなるって。次回はマジで行け。八時にくるから」



後輩はピザの到着にしびれを切らしたのか、ビールをぐびっ。



「いやぁ。僕言われたんですよ。先週行った札幌のキャバ嬢に。痩せられるまでは‥って頑張るよりも、じゃんじゃん女に声かけろって」



そう言って遠くを見つめるお前だが、ワリい。
言ってることちっともかっこ良くねぇ。


そうこうしてると、カウンターに店員がやってきて「お待たせしました」。

げっ。

ポテトチップス・・・・・。





「行くか」





銀座。


金曜の二三:零五。



パチンコの景品交換所の列に邪魔される。

路上の怪我人がタンカで運ばれる。

たどりついた地下鉄の入口は、そういや反対、新橋方面じゃ帰れない。


仕事しかなかった一週間。
トラブルの集中砲火の一週間。
それが終わる。
こんな風に。



‥畜生。






優しいおじさん


(写真は三百円バーではありません。笑)



(・・って、これをケータイで書いてたら終電で一駅乗り過ごしてしまった! タクシー代 千三百六十円也 

あとハーパー四杯いけた  ・・畜生!!)







posted by 白井麒麟 at 01:20| 東京 ☀| Comment(2) | あしもとの小さな音 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
すごくおもしろかったです(ごめんなさい^^;)
好きなんです。
こういう雑多な場所。

なので「畜生」が「畜生」に聞こえなくて
またまたごめんなさい^^;
お仕事、子育て、お疲れ様です。。
Posted by みかん at 2007年09月08日 12:22
みかんさんこんにちは。
でもね、ホントさんざんな一週間でした。。

ちなみに写真のおじさんと、前の日記のムンク作「叫びちゃん」はリンクしてません。
念のため(笑)


Posted by 白井麒麟 at 2007年09月08日 14:42
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